2020年代、学校教育では「教科を超えた力」が重視される!?

時代の変遷に合わせ、ほぼ10年に一度のペースで改訂が行われてきた「学習指導要領」。現行の指導要領は小学校が2011(平成23)年度から、中学校が12(同24)年度から、高校が13(同25)年度入学生から順次全面実施に入っているが、さらに次の全面改訂ではどんな変更が見込まれるのだろうか? 教育ジャーナリストの渡辺敦司氏が解説する。

■次回の改定では「21世紀型能力」を目指した大改革が行われる!?

次の「学習指導要領」全面改訂では、一見目立たないけれども大きな改革が行われそうです。教科の内容重視から、<教科を超えた力>重視への転換です。

国立教育政策研究所が報告書で提言した「21世紀型能力」。この報告も参考にしながら、文部科学省有識者検討会が指導要領改訂に向けた「論点整理」を行いました。検討会はあくまで改訂の「下準備」のための「勉強会」という位置付けで、専門の研究者を集めたメンバーの中でも一致が見られず意見を列記した部分も多いのですが、教科縦割りになりがちな指導要領の在り方を改め、「何かを知っていること」よりも「何かをできるようになること」(資質・能力)を重視しようという方向性を明確に打ち出していることが注目点です。

■これからを生き抜くには、「汎用的スキル」が必要と考えられている

論点整理では、教科の再編成までは求めないものの、まずは教科等を超えて必要とされる資質・能力とは何かを定めたうえで、そうした資質・能力を各教科等のどこで、どう育てるのかを明確にしようと提言しています。そこで育成を目指すのは、問題解決力や論理的思考力、コミュニケーション力、チームワークといった「汎用的スキル」(コンピテンシー)であり、教科特有の力でありながらほかの分野にも適用(転移)できるような能力です。今までは各教科の勉強をしっかりしていれば自然と社会で活躍できる力が身に付くと考えられてきましたが、知識基盤社会といわれるこれからの時代には、教科を超えた力として意識的に教育しなければ求められる能力は身に付かないと考えてのことです。

指導要領が改訂されるたびにやれゆとりだのなんだのと振り回されて子供と、
改訂に合わせて頑張らないといけない先生も大変ですよね。